Vol.13 members only
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Q. ミツバチの研究で解明されていないことはなんでしょうか?
ミツバチヘギイタダニを根絶するにはどうしたらいいかと考えています。
UBCの同僚であるもう一人の博士課程の学生は、RNAi(RNA干渉)を使った遺伝子の垂直伝播の研究をしていました。

Q. プラスミド(大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称)などですね。
はい。寄生ダニを根絶するために。でもミツバチには使えないらしいので、今はCRISPRだと思っています、CRISPR(遺伝子編集技術「CRISPR」クリスパー)を使ってどうやって寄生ダニを根絶するか。
Q. 50年前には知られていなかった、ミツバチについての知見はなんでしょう?
ミツバチ寄生ダニへの誤解です。やや専門的な話でも良いですか?
(はい)
長い間、ダニは血液成分を吸っていると思われていましたが、FDA(アメリカ食品医薬品局)の研究者が、実際には脂肪体を食べていることを発見しました。
Q. 寄生ダニはどのように広がっていくのでしょうか。
それは一般的にはミツバチの盗蜂という行為によるものと言われています。
他にも餌場となる場所にも居て、ミツバチに乗り移って巣箱内に広がることもあります。
だからコロニー自体の距離を十分にとる必要があります。
(人間界でも有名なソーシャルディスタンスですね。)
その通り、4キロは離すべきでしょう。
(4キロ離して2週間以上も検疫する。)
ええ、何年もです。

巣箱に子供たちが描いたミツバチと花
Q. 国際的なミツバチ研究のコミュニティでは、どのくらいの共有と協力関係がありますか。
私がバンクーバーで働いていたときは、主に3つの機関による大きなプロジェクトがありました。
政府から年間100万ドル以上の資金提供を受けていました。
私の研究室ではプロテオミクス、もうひとつの研究室ではメタボロミクス、もうひとつの研究室ではゲノミクスを研究していました。
彼らはいつも一緒に仕事をしています。サンプルがあればお互いにメッセージを送り合い、サンプルを共有し、新しい発見を共有しました。
このプロジェクトでは、助成金を3つの機関で分け合いましたが、そこに至るまでには、プロジェクトを計画し、実行に移すための多くの労力が必要です。
しかも5年がかりのプロジェクトで、各関係者の多大な尽力がありました。
Q. 第一線の研究者として、人類共通の課題解決に資する研究をするために各国政府はどのように協調すれば良いと考えますか。
資金供給です。
日本では、政府からの資金援助が非常に少ないことはご存じだと思います。
カナダでは、研究をする人や研究者になる人を惹きつけるために、政府から多くの助成金が提供されていますが、日本人のノーベル賞受賞者を見てみると、彼らはすべてアメリカや日本以外の国にいますが、日本人なので名誉あることなのです。
しかし、日本の大学で働いている人はほとんどいません。
なぜなら、資金がないからで、それが開発や研究、進歩を妨げていると思います。

沖縄科学技術大学大学院キャンパス内からの景色
Q. 環境問題に対してあなたが研究者として、次の3つから2つの優先するものを教えてください。公衆の関与(パブリックエンゲージメント)、総合的な研究、奨学金制度の拡充?
財政的支援でしょう。
(お金の問題ですね。)
そうですね。リサーチ……、2つ目は何ですか?
(2つ目は、総合的な研究です。)
総合的な研究...総合的な研究?ああ......難しい。ええ、そうですね。パブリックエンゲージメントと奨学金制度の拡充です。
(研究そのものではなく?)
ハハ(笑)なぜなら、人々が行動を起こすためには、まず関心を持つ必要があるからです。
脚注 ※1 CO-OP…Co-op programs –大学のカリキュラムを補完するために、専門分野に関連した就業体験を提供することを目的とした、学校が推進するインターンシップ。
インタビューは以上です。
最前線で活躍する若手研究者に話を聞くことで、ミツバチ研究の、世界における重要性をより強く認識することができました。
私たちBeeslowも、ミツバチ、そして人の未来のために、より広く皆さまと知見をシェアしていければと思います。
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それでは皆さま、良い週末をお過ごしください。